「わかちゃんの性教育」NPO法人せいしとらんし熊本 理事長 中村 和可子 様
お話の始めに、中村さんからクイズです。
「人間の身体には、いくつの穴があるでしょう?」
さて答えは…?
目(二つ)耳(二つ)鼻(二つ)口・おしっこの穴・ウンチの穴・赤ちゃんが生まれる穴の、計10個。
皆さん正解です。今日は身体についての勉強かな?
いいえ。
実は私たちが幸福に生きるためには、性教育で生殖のことだけでなく、友情や恋愛・家族などの人間関係、ジェンダー(社会の中でみた性区別)、そして暴力から身を守ること等、幅広いテーマで学ぶことが必要です。
これを「包括的性教育」というそうです。
私たち日本人は残念ながら、これらを学校教育で積極的に学んできた記憶がありません。
実際、中村さんから
「寄付でいただいた沢山のコンドームがあります」
「母親として、若い息子にあげるのはいかがですか?」
と笑顔で言われた時、皆さんハッ!と目が覚めたのでは…?
性教育は、「生教育」。
私たちが生きることを楽しみ、ココロも身体も健康で元気に過ごせること。
大切な性に関する悩みを、隠すのではなく誰かに相談できること。
性の違いや変化を受けとめ、自分が成長していると感じられるなら…
日本の未来はもっと明るくなる、と中村さんは言われます。
さて中村さんから次のクイズです。
「男女の違いは何でしょう?」
メンバーさんからは、「のどぼとけ」 「おっぱい」 「ちん〇ん」など、率直な意見がぞくぞく。
中村さんは、「確かに女性の体は子どもを産むようにできています」
「始まるっていう漢字は、女性が土台になるという意味ですね」。
性の違いを知ることは、自分を認めるとともに他者への思いやりを育てることにもつながります。
自分も他者も大切にできる力は、性犯罪を防いだり、多様性を認め合う豊かな社会の基本となるのでしょう。
またまたクイズです。
「『バウンダリー』って、何だと思いますか?」
なんだか難しそうな言葉…
これは「自分と他者を区別する境界線」のことだそうです。
特に恋愛シーンで、自分が良いと思えることが相手や周りの人もそうだと思ってしまうなら、バウンダリーが育っていないことになります。
例えば、自分の持ち物や時間・エネルギーはどこまで共有できる?
ココロのスペースや身体の接触は?
二人でいるときはいいけれど、公共の場ではどう振る舞う?…などなど。
バウンダリーがあることで、お互いに安全で尊重される関係を保つことができるといわれます。
ここでデスモンドという動物学者が提唱した「ふれあいの12段階」の図が登場。
1.目から体 2.目から目 …(途中省略)… 11.手から性器 12.性器から性器
までの12段階で、相手に許すふれあいの範囲をイラストで示しています。
中村さんは言います。
「12.は究極の人間関係。急いでそこに行ってしまうのはもったいない。関係が早く終わりに至ってしまうことも多い。
段階をゆっくり進むなら幸せ感が続き、関係も長続きするという調査結果があります」。
図を見ながら皆、自分の性について思いを巡らす機会となりました。
中村さんは、高校生へのメッセージでこう話されるそうです。
「大人になるとは、一人で何でもできるようになることではないよ。
出来ない時に『助けて』と、言えるようになること」
だと。
中村さんが活動を通して目指していることは…
・私が私として生まれてきてよかった、と思える人
・自分を知り他者を認めて、思いやりを示せる人
・自分と他者の境界線を持ち、健康的な人間関係が持てる人を増やしていくことだそうです。
中村さんは、幸せに生きるための探求は、終わりなき学びであると言われます。
世代間で認識のギャップがあったり、個人の自由と混同されがちな性の話題。
オルタナでの終わりなき学びは、まだまだ続きそうです。
中村さん、貴重なお話をありがとうございました。
ぜひ次回の学びの機会も、よろしくお願い致します!
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